2006年01月11日

『想い出にかわる君』という作品について

最近『想君』がまた公式BBSで論議されていますね。
この作品は本当にいろいろと大変ですね(苦笑)。
私は嫌いじゃないですよ?
よく言われる問題点は

主人公がヘタレ。
キャラの人間臭さ(=好きになれない)。
ものすごい電波のオンパレード。
ストーリーの未熟さ(私はそうは思わないが)。

ぐらいですかね?(ここからは分けることにします)


確かにギャルゲーを求めるなら『想君』は失敗かもしれません。
キレイな恋愛ではないため、プレイヤーがイライラしてしまうんですよね。
二股が多いのも特徴ですし……。
でもこの作品で描きたかったのはキレイな恋愛ではないのです。

この作品に登場するキャラクターに゛完全な善人″というのは存在していません。
強いフリをしていても心のどこかに弱い部分を持っていたり、
思い込みが激しいためひとりで暴走してしまうなど様々な想いを抱えています。
でもそれが普通の人間です。人が抱える闇は隠し切れる物ではありません。
まっすぐで嘘のない完璧な人なんてこの世には存在しないのです。

ゲームという世界は現実とは違います。
現実にないもの、自分にはないものを求めるからこそ、
人はゲーム(大きく言えば二次元)という世界に浸りたいと思うのです。
でもそのゲームに現実と同じような人間が描かれていたらどうでしょう?
プレイヤーは自分の本当の姿を見せられ、現実を見てしまうことになります。
自分にないものを求めたはずなのに、そこには普通の人間と変わらない存在がいる。
それは人によっては大きな苦痛となるでしょう。
これが否定意見を出す人の真の理由ではないかと私は思います。

そして肯定派の人は、こういった現実と向き合うことに覚悟がある人たちです。
「ああ、これが本当の人間なんだ」と理解し、じゃあ自分はどうすればいいのか、
この作品をプレイして思ったこと、それを自分自身と照らし合わせて考えることができる人。
そんな人は、この『想い出にかわる君』という作品を肯定できるのだと思います

人の死が多く描かれていることについて少し。
テンチョーが死んだことも、現実で起こりえない事故ではありません。
このことはずっと議論の主題にもなっていますが、それが製作者の狙いでもあります。
みんな人の死について深く考えることができたでしょ?
メモオフという作品はよく人が死にますが、
この作品ほど大きな議論に発展したことはないと思います。
どうしてあの人が死ななければならなかったのか?と考えることは、
人として生きている限り必ずあることでしょう(例えば家族や親戚など)。
だからゲームを通してその悲しみや理不尽さを伝えたかったのではないでしょうか?
シナリオのために殺したと考える人は上記の否定派の人。
(ゲームでまで『人の死』なんて見たくないと考えている?)
何故、どうして?と深く悩んだ人は肯定派でしょう。
(ゲームと現実を照らし合わせて考える)
『どちらとも分からない』という人は肯定派だけど迷っているという感じかな?
もっと人生を見つめるといいかもしれません。

1stが過去に悩み、2ndでは進路(未来)に悩みました。
〜それから〜では過ちという過去に悩み、#5では夢と願いに悩みました。
そして想君は生きることに悩み、現実の世界というものを考えさせてくれた作品です。
『想い出にかわる君』という作品に込められた想い……。
それぞれ意見があると思いますが、あれこれ考えることができたならそれでいいのです。
否定派、肯定派としましたが、どちらの人も考えることはしました。
それができただけで十分です。良かったか悪かったかは問題ではなく、
考えて自分なりの結論を出すこと、現実と向き合うこと。
それをテーマとしたならこの作品は成功したと言えるでしょう。
恋愛はその中のひとつのスパイスみたいなもの。本当の恋愛はこんなもんですよ(たぶん)。
「二股なんて許せない!」という人は自分がそうならないように気を付けましょうね!

いろいろ生意気な意見ばかり書いてますが、それでも読んでくれた人ありがとう。
少しでも共感してくれたならさらに感謝です。
メモオフで意見を交し合うことは良いことですが、
喧嘩だけはしないようにしてくださいね。
えへ、それではごきげんよう。

余談
2nd>1st>#5>それから>想君
見たいなランク付けあるでしょ?
私はそういう考えは好きじゃないです。
どの作品にも良いところがあって、悪いところがあるはずです。
優劣を考えることはあっても、ランク付けをする必要はありません。
だから私は1st=2nd=想君=それから=#5と考えています。

at 18:26│Comments(0)TrackBack(0) ゲーム感想(メモオフ全般) 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔